エルネア王国 〜おうちメモ

「ワールドネバーランド エルネア王国の日々」の想い出を記録しています。

VS護り龍「バグウェル」

夕方からは勇者壮行の儀式です。

神官に応える声はなく、それは、静まり返った玉座の間でこれから執り行われる儀式が、いかに峻厳なものであるかを窺わせます。

「本年、王国の護り龍バグウェルに挑まれる者は「クレオル・ブフナー」さんです」

歓声や声援はなく、代わりに父である国王アリツの見定めるような目が、クレオルを見つめました。

「(少しは、認めてもらえたんだろうか……)」

王の言葉からは、王国一の戦士に対する期待が感じられます。しかし、その視線は厳しく彼の弱い心を見透かしているようです。

「(お父さんには、まだまだ追い付けないな……)」

アリツ国王の王者としての風格は、クレオルには一生掛かっても身に付けられそうにありません。

それでもクレオルは、次期国王として勉学と鍛錬に励み、学生時代から確かな実力を身に付けてきました。

「(人間の力が、……私の力が、バグウェル相手にどこまで通用するのかは分からない。それでも、非力な人間でも、努力すればここまでやれるという結果を示してみせる)」

クレオルは王の視線をはねつけるように、真っ直ぐに見つめ返しました。

「ふふ……そうか……クレオル……」

「えっ……お父さん?」

王の視線が一瞬だけ緩み、柔らかな父親の顔になったのをクレオルは目にしました。

「いや、何でもない……儀式を続けよう」

気まずそうに咳払いをすると、王は傍にいる神官に声を掛けました。

「(不思議だな……なんだか、力が湧いてくるような気がする)」

明日勝てるかどうかなんて分かりません。

それでも国王と神官に祈願してもらい、クレオルは自分の能力以上の力を纏ったような、不思議な気持ちになりました。


「リーゼさん、仮面買ってきたよ」
「やったぁ!ありがとう!」

帰宅後、約束していた仮面をリーゼに渡しました。

「父ちゃん、変じゃないかなぁ?」
「変じゃないよ、とっても似合ってる!」
「うーん……」

こうじゃない、ああじゃないと何度も仮面を付け直すリーゼの姿は、初めての龍との対戦に右往左往する自分の姿と似ています。

「大丈夫……どの角度で被っても立派な神様に見えるよ」

クレオルはリーゼの頭に手を乗せると、わしゃわしゃとその手を動かしました。

「ちょっ…!髪がぐちゃぐちゃになるからやめてよぉ!」
「ははっ……」

いまさら、オドオドしても仕方がありません。どっしり構えて試合に臨むまでです!

20日

f:id:denosjours:20170623135101g:plain


今日は星の日です。初めての神様の役にリーゼは緊張しているようです。

「まぁまぁ、そう固くならずに。気楽に星の日を楽しめば良いと思うよ」
「そうそう、今日は大人からたくさんお菓子が貰えるのよ」
「う〜ん……お菓子食べても……母ちゃん、怒らない?」
「もちろん!今日のリーゼは神様だからね♪」
「やったぁ♪」

無邪気に喜ぶ小さな神様を見て、クレオルもイヴォンヌさんも自然と笑顔になりました。


子供達が賑やかな星の日を迎えている中、大人はしっとりとしたムードを楽しみます。

星の日は、いつもと違い昼であるのに薄暗く、ワフ虫が光を放ちながら舞う姿は幻想的で、デートをするには打って付けです。


この日に婚約したカップルも多い事でしょう。クレオルも愛する人と幻想的な景色を眺め、まるで世界中に2人しか存在していないような、恋に酔いしれていたあの頃の甘い気持ちを思い出します。

「今でもなんだか信じられないな、こんなに綺麗な人が私のお嫁さんだなんて……」

クレオルは隣に立つイヴォンさんの横顔をじっと見つめました。

「もう、やだ……あんまり見ないで。今は農場管理官やってるから、日焼けしちゃってるし、あの時より歳も取ったし……綺麗じゃないよ」

イヴォンヌさんは恥ずかしそうに顔を覆います。


どんなに歳を重ねても、この気持ちはきっと変わる事はないでしょう。


口では呆れたという反応をしつつも、同じ気持ちだとイヴォンヌさんは伝えてくれます。

「(例えどんな事があったとしても、私の帰る場所はイヴォンヌさんの隣だ……)」

そっと手を握ると、応えるようにイヴォンヌさんは手を握り返してくれました。

21日

f:id:denosjours:20170623135101g:plain

いよいよバグウェルとの対戦の日です!!


出来るだけ多くのエルネア国民に応援してもらえるよう、友人や身内に声を掛けまくります。

大きな龍に1人で挑むのは、やはり普段の試合以上に緊張します。


光星にも応援をお願いしたいくらいです!

「どうだ、バグウェルには勝てそうか?」
「お父さん……」

王立闘技場前をウロウロしていると父に声を掛けられました。



「試合まで時間があるな……少し話さないか?」
「うん……」

クレオルの緊張を、少しでも和らげようとしてくれたのかもしれません。


試合前に父の激励を受け、いよいよ、夕方からはバグウェルとの対決です!!

「皆様お待ちかね、4年に1度のこの日、我がエルネア王国の護り龍たるバグウェルに王国最強の武人たる勇者が全身全霊を賭けて挑みます」


神官に紹介されたクレオルは、自分を鼓舞するように、勢いよく片手を突き上げました。壮行の儀式の時とは打って変わって、たくさんの声援がクレオルを包みます。

「さて、上空に力強い翼の音が近づいて参りました」


神官はまるで実況アナウンサーです。ある時は王の右腕、ある時は牧師、ある時はアナウンサー……マルチに活躍する神官はとても有能ですね!いつになるかは分かりませんが、神官もやってみたいです(^^)


この国王のセリフはいつ見ても惚れ惚れします♡そして、またアリツ君はまり役(о´∀`о)



「我が国最強の戦士……いや、俺の息子が負けるわけがない」

そう言わんばかりの笑顔が国王の顔には浮かんでいます。勇者に全幅の信頼を寄せているからこそ、巨大な龍を目にしても笑う事が出来るのでしょう。


王の信頼と国民の期待を一身に受けたクレオルは、武器を構えると目先の龍を見据えます。

「(たとえこの先どんな巨大な敵が相手でも、国民を守る為なら……私は戦う!)」

クレオルはバグウェル目掛けて走り出します。

バグウェルがこの闘技場に降り立った時、彼はその姿に、大きさに、驚愕せずにはいられませんでした。

少なからず恐怖心を抱きました。

しかし同時に、遥か昔、異形との戦争で沢山のエルネア国民が犠牲になった事も思い出しました。

戦争を忘れない為にも、万が一巨大な敵が現れようとも互角に戦えるよう、こうして4年に1度バグウェルの試練に挑むのです。


試合終了を告げる神官の声が闘技場に響きました。




勝者の名前を告げると同時に国民の歓声がクレオルを包みました。


さっきまで戦っていた龍がクレオルを見下ろしています。

(もう終わった、のか……?)


父である国王からお褒めの言葉を頂き、クレオルは初めて自分がバグウェルに勝てた事を自覚しました。

(思ってたよりも、簡単だったな……)

クレオルは手にしていた武器を納めながら先程のバグウェルとの戦いを思い返します。

「さて、我らが護り龍よ、我らエルネア王国の民は、そなたらとの盟約を忘れず……」



バグウェルは人間の実力を見届けた後、4年後を楽しみにしていると告げ、また上空へと帰って行きました。



「バグウェルには勝てたんだけど……なんだか実感がわかないな……簡単過ぎるというか……」

バグウェルとの試合を終え、龍騎士となったクレオルが1人になれたのは、夜3刻を過ぎた頃でした。


ポムの火酒片手に晩酌しながら、クレオルはバグウェルとの試合を思い出します。

「(私の腕も悪くはない、自惚れかもしれないがそう思う。でも、護り龍であるバグウェルの力があんなものだとは思えない……)」

全力を出し切れず、不完全燃焼でバグウェルとの試合が終わってしまい、クレオルの心は晴れません。

目指すべき目標を達成し、力が抜けたとも言うのかもしれません。

「これから、どうしようかな……」

成人して以来、立派な国王になる為にあらゆる事に挑戦してきました。子供の頃の夢である龍騎士になる事も出来ました。父や母も少しは認めてくれたでしょう。

(こんな事で悩むなんて、もう新成人でもないのに……)

成人してもう3年が経ったというのに、ちっともクレオルの中身は変わっていません。

「はは……まいったな……」

クレオルは、モヤモヤした気持ちを流し込むようにグラスの火酒を飲み干しました。







***

お久しぶりです!新しく購読して下さった方、ありがとうございます!エルネアは今でも楽しくプレイしていますし、更新は亀ですが続けていくつもりなので、よろしければお付き合い下さいませ(^^)今後ともよろしくお願いします♪

↓購読して頂けると嬉しいです(^^)